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校長コラム

2010年
09月

2010.09.12なぜ「今」、「ここに」

 創立五十周年を感謝と喜びのうちにお祝いしたセントヨゼフは、2010年の春、次の五十年に向けて、元気一杯、新しいスタートを切りました。
今年度の学園目標として"Yes, I can! Let's try!" (はい、できます!やってみよう!)を掲げ、 生徒も教職員も一丸となって、与えられている可能性を100パーセント開花させようと動き始めました。
学園会も「立ち上がれヨゼフ!Take Action!」と前向きな目標を立て、私はとても力強く感じています。
とは言え、そのヨゼフの熱い想いの行く手にさまざまな問題が立ちはだかっているのも確かです。
それは全国的な社会現象である少子化、そして地方都市では私学、特に女子校の教育的価値が浸透しにくいという現実です。
しかし、このような危機の時代こそ、セントヨゼフの存在意義を問い直す絶好の機会だと私は信じ、 他の学校にはないヨゼフの強みを今一度確認してみたいと思います。

■一粒の種
 フランスの寒村、ル・プイに小さな修道会ができ、一粒の種が蒔かれたのは360年も前のことでした。
セントヨゼフの「いのち」の種は、遙か彼方ですでに芽吹いていたのです。
そして175年前、その種はフランスからアメリカのセントルイスに渡りました。
さらに時が経ち、当時の三重県知事の要請に応えて派遣された四人のシスターの手によって、 種は太平洋を越えて日本に運ばれ、1959年、セントヨゼフが津の地で産声をあげました。
私はこの命の絆が絶えることなく、時を越え、海を越えてバトンタッチされてきた不思議さにただ驚くばかりです。
そのバトンを受けて次の世代につないでいく役目をいただいたことへの喜びを感じると同時に、 歴代の人々の命がけのミッションに強く心を打たれ、身の引き締まる想いです。
セントヨゼフの第一の強みはこの脈々と流れる熱い想いです。
その「熱い想い」が抱き続けたのは女子教育への情熱であり、常に目指してきたのは、 ヨゼフで学ぶすべての生徒が自立した女性として幸せに生きることなのです。
いただいている命を使って、どう生きるのかは私たちの生涯の課題です。
言い換えれば、人は必ず「命を使う」こと、すなわち「使命」を託されているのです。
それぞれの使命は異なっていて誰にも代わりができません。人は機械の部品のように取り替えることができない存在として創られているからです。
私たち一人一人には人格(ペルソナ)があるからです。
ペルソナはPERSONの語源で、(per~のため sonar響く)人は互いに響き合い、関わり合う存在として創られているのです。
第二の強みは揺るぎないカトリック的人間観と生命観に基づく女子教育の実践です。
中、高校時代を過ごす環境はその後の生き方に大きな影響を与えます。
特に12歳から18歳といういわゆる思春期に、命について、人生について、そして自分自身について内省の機会を持つことは非常に意味深いと思います。
ことに、新しい命を宿すという崇高な使命を託されている女性が、その役割の意義をしっかり把握できるよう生徒の心に伝えてきたのは、 「すべての人は、創造主によって創られたかけがえのない存在である」という真実です。

■女性の世紀
 二十世紀は科学万能の時代と呼ばれ、男性の能力が大いに注目されました。
しかし今世紀は女性の世紀と言われています。
科学によって分析され、細分化された世界を温かく包み、一つに再生していく女性の視点と力に大きな期待がかけられているのです。
日本は経済的先進国であるのに、欧米諸国に比べると女性に対する評価が高いとは言えません。
それを社会構造や慣習のせいにするのではなく、女性として命をいただいている幸せと喜びをかみしめ、 その役割の素晴らしさを認識するという女性自身の意識改革こそ改善への一番の近道だと言えましょう。
創造主は女性に計り知れないほど奥深い使命を与えられました。
創造主の想いに気付き、目覚めていく「とき」が来ています。
それは際だった活躍や貢献ということではなく、マザーテレサが言われる「大海の一滴」でいいのだと私は思っています。

■世界に開かれた窓
 第三の強みは"Think globally, act locally"、すなわち「広い視野をもって、身近なところから行動しなさい」というこの言葉どおり、 ヨゼフでは広い展望のもとに多くの体験のチャンスが与えられ、社会が必要とすることに気づく豊かな心と、 それに応えて歩み出す行動力が培われます。
グローバルな視点に立って夢を実現していく女性を育てるために、ヨゼフは世界への窓を大きく開けています。
これこそ新しい時代にふさわしい教育ではないでしょうか。

私たちはこのようなセントヨゼフの「強み」を限りなく輝かせ、社会に発信していきたいと思います。